私は元政令指定都市の市役所職員でした。
試験合格で言えば、市役所2つと東京特別区Ⅰ類(事務)に採用をいただきました。
公務員試験の論文(小論文)試験については、教養や専門と言った筆記試験に時間をかけたいという思いから、対策しないという方がいますが、正直もったいないです。
筆記試験と論文試験の合計点で採点するところも多く、筆記試験で仮に失敗してしまった分、論文試験で取り戻すことも可能です。
逆に言ってしまうと、筆記試験が良かった分、論文試験で足を引っ張ってしまい落ちてしまうことも十分ありえます。
論文試験は、十分な事前準備と対策が必要です。
今回、論文対策として、頻出テーマ、構成や書き方、おすすめの参考書など紹介していきます。
目次
頻出テーマについて
よく出される12テーマを紹介します。
- 高齢問題
- 少子化問題・人口減少問題
- 住みたい街づくり
- 行政と住民との協働
- 格差社会、雇用
- 子どもの貧困(学習支援、こども食堂)
- ICTの活用推進
- 防災対策
- 働き方改革
- 男女共同参画社会、女性の活躍
- SDGs
- 環境問題
この頻出テーマは必ず抑えましょう。
市独自の問題から出されることもありますので、最新のニュースや官公庁が発表するデータ、市役所が発表する市政運営ページなどよく見て、自分なりの問題意識を持っておくことが重要です。
論文の書き方や構成
論文を書くにあたって、三段階構成で書くことをおすすめします。
(1)問題提起:問題点の定義、その背景や現状を述べる
テーマについて、何が問題なのか、問題になっているその背景や現状、原因について書きます。
また、この問題について今後どのような問題に発展するのかを具体的に書きます。
ここでは事前に調べた数字といった具体的なデータを活用すると、論文としての信憑性がかなり増します。
全体の文章構成としては、30%ほどにしましょう。
(2)解決策:自分なりの問題意識と具体的解決方法を書く
論文の構成で最も重要な部分となり、理由としては自分の意見を書くことで他の人との差別化を図ることができます。
具体的解決方法については、今までの社会人での経験や学生時代の研究テーマであれば書くことができますが、なかなかそうはいきません、
そのため、具体的解決法が分からない場合は、自己主張でも良いです。
私がこの市を変えます!というような大きいことではなく、少し的外れでも良いので、問題に焦点を当て、よく分析し、焦らず、自分の意見をしっかりと書くことが重要です。
全体の文章構成としては、50%ほどにしましょう。
(3)結論:解決をすることでどのような社会になるのか、また将来の展望を書き最後まとめる
解決策で述べた具体的解決方法によって「市や地域はどのように発展するのか」簡単でよいのでまとめましょう。
また、最後に「私が〇〇市職員として、今後、地域や社会に貢献してきたいです。」と言った、締めの文章を入れると、まとまりがぐっどよくなります。
全体の文章構成としては、20%ほどにしましょう。
論文対策の練習
練習のためのテーマが決まり、書き方や構成も理解したら次は作成練習です。
いきなり紙の原稿用紙に書いてはいないでしょうか?
これでは、もったいないです。
おすすめの練習方法があるので、ぜひご活用ください。
(1)Microsoft Office Wordの原稿用紙を使う
パソコンのWordの機能で原稿用紙の機能があります。
①「レイアウト」タブを押し、②「原稿用紙設定」が出てくるので、そちらをクリックします。
そうすると、原稿用紙設定の詳細が出てくるので、
スタイル「マス目付き原稿用紙」
文字数×行数「20×20」
に設定した後のそのまま下部にある「OK」を押します。
そうすると、原稿用紙として、使用することができます。
また、ら抜き言葉や、ふとした文章ミスがあった場合、指摘をしてくれるので、自身の文章の癖などの見直しにも活用ができます。
(2)原稿用紙から構成を考える
原稿用紙一枚で、400文字となります。
仮に東京特別区の論文試験であれば、1500文字となりますので、9割を埋めると考えると、1350~1500文字が理想になります。
三段階構成で書くとすると、
(1)問題提起:30%=400字 原稿用紙1枚
(2)解決策:50%=700~800字 原稿用紙2枚
(3)結論:20%=300字 原稿用紙1枚
と、原稿用紙一枚ごとに構成を考えることができます。
文章を考えるにあたり、役に立つでしょう。
(3)最後に手書きをする
Wordで文章を作り終えましたら、最後に手書き練習です。
原稿用紙4枚を何も書かない状態(マス目のみ)のものを印刷し、何も見ずに書ききること。
その際に時間を測り、実際の試験時間内に間に合うかどうかも確認すると良いでしょう。
Wordで書いた文章を、手書きで書いてみると、書きにくい文章に気づくことができます。
書きにくいということは、難しい表現であったり、読み手への配慮が足りない可能性があります。
その際は、Wordの文章を修正し、また何も見ずに手書きをすることで、より良い論文ができます。
この繰り返しが最高の練習方法だと私は考えました。
おすすめの参考書
(1)公務員教科書 2週間完成 動画とアプリで学ぶ 論文・作文 全公務員試験対応
記載例がテーマごと載っており、合計32の記入例が載っております。
また、書籍ではなくアプリや動画の配信もしており、家だけでなく、外でも学習ができるメリットがあります。
参考書を持つのであれば、まずこの一冊は持っておいた方が良いでしょう。
論文試験では人気の一冊ですとなっております!
(2)公務員試験 小論文の秘伝 2023年度採用 (旧:公務員 論文試験の秘伝)
現状のトレンドを把握したうえで、最新試験に向けての対策が書いてある一冊です!
また、頻出テーマを受験者と先生が会話形式でまとめてあり、どのように考えを深めていけばいいのか、しっかりと理解することができます。
問題提起、検討、答案、先生からの講評という構成から各テーマの理解を深めたいと考える方は、良い参考書になります!
(3)地方上級・国家一般職[大卒]・市役所上・中級
頻出テーマを深堀りして、しっかり解説してくれている一冊です!
テーマを決めたとしても、問題提起の仕方、考え方、答案の書き方など迷うでしょう。
こちらの参考書は、書き方を中心にというよりかは、頻出テーマについての知識や理解について書かれています。
データの収集に時間がない方はぜひ手に取っていただきたい一冊です。
まとめ
私は論文試験対策に1ヶ月程、時間をかけました。
頻出テーマを中心に、参考書やニュースなどで毎日少しずつ知識を増やし、論じられるようになれば、まずはWordで文章構成を行い、マス目だけ印刷した原稿用紙に手書きし、Wordで修正し、再び手書きをする・・を繰り返し行いました。
繰り返し行うことで、文章構成が自然と身につきます。
また、試験まで時間がない場合は参考書の記入例を大枠だけでも真似して、解決策の部分を自身のオリジナルに少し変えるだけでも良いでしょう。
試験当日では、知ってるテーマが来たと思っても、考える時間、構成する時間、論文を書く時間を頭の中で時間分配し、冷静に論文試験に臨むことがベストです。
論文試験は事前準備をすれば、パターン化することができるので、対策は絶対にした方が良いです。